MESSAGE

“纏う”を丁寧に大切に。
今、作り手としてやるべきこと。

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もう一度、作り手としてのワクワク感を取り戻したい。

“ファストファッション”という言葉が生まれた2000年代半ば。
低価格で流行のファッションが楽しめると、業界に新しい風を呼び込み、国内外のアパレルメーカーが次々と店舗を拡大していきました。その結果、大量生産、大量販売、そして大量廃棄が当たり前に。時代の大きな波の中で、ふと気づくといつの間にか作り手である私たちでさえ、商品への思い入れがなくなってしまっているのでは?……。
そもそも衣服とは、毎日の生活に幸せと高揚感を与えてくれるものです。その日一日をいかに心豊かに楽しく過ごすか。衣服はとても重要な要素であり、それはいつの時代も決して変わるものではありません。
そんな “纏(まと)う”瞬間のワクワク感を、もう一度、作り手である私たちも感じたい。そんな想いから、2015年に「FOOD TEXTILE」プロジェクトが立ち上がりました。

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確かな技術から生まれた
まったく新しいテキスタイル。

きっかけは、大手食品メーカーCSR部門の方との出会いでした。
「製造過程で出る野菜など、廃棄される食材を何かに活かせないものか」。
そんな投げかけに、食品残渣を使って布を染めることを思いついたのです。当社の長年のパートナーである協力会社が、高い染色の技術を持っているからです。その技術を支えているのが、日本の伝統ある染色工場です。
彼らは、繊維業界の行く末に目を向けながら、一貫して日本のものづくりを大切にしてきた方々です。
古くから日本人の体を守ってきたのは、天然染料で染め、日本人が織り上げた布です。そこには作り手の“纏う”ことを大切に思う気持ちと、使い手の長く大切に着たいという思いが通じ合っていました。
そして今、食品残渣を用い、真摯に染色に向き合いこの担当者が染め上げた、何とも温かでやさしい色合いの布を手にしたとき、衣服のあるべき姿に気付かされたのです。

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業界の流れに抗うような
永続的なプロジェクトに。

食品残渣で染色したテキスタイルを世の中に広めていく。
それは今、時代を象徴するキーワードとも言える“地球環境に配慮した製品づくり”への取り組みとして注目されています。また繊維商社が食品とアパレル業界を繋ぐことで生まれる、新たなシナジー効果も話題になっています。
しかし、私たちが目指すのは、時代の流行りを追いかけるような一過性のものではありません。食品残渣からの染色は手間も時間もコストもかかるため、時代に逆行しているとも言われます。それでも、作り手と使い手の想いが通じ合うことで生まれる特別な価値を、永続的に注ぎ込んでいきたい。 そんな私たちの「“纏う”を丁寧に大切に」の想いこそが、このプロジェクトの原点なのです。