FOOD TEXTILE STORY vol.5

自社の想いを制服というカタチに変換し、
言葉を超えたメッセージとして伝えたい。

2023.11.10

〜(株)生活の木 〜

マーケティング本部 デピュティーゼネラルマネージャー 重永 創さん

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野口廣子さん

〜(株)生活の木 〜

マーケティング本部 デピュティーゼネラルマネージャー 重永 創さん

ハーブやアロマテラピーの先駆者として大切にしている想い。

東京渋谷区神宮前。多くの人で賑わう表参道の一等地に「生活の木」の原宿表参道店がある。 店内に入った瞬間、周囲の喧騒から一転、静かな空間に漂うハーブの香りにふわりと包まれ、深呼吸をひとつ…。 陶器店として1955年この場所で創業。その後70年代に入ってハーブを扱い始めると、日本にハーブとアロマテラピーを普及させた先駆的企業として、 「生活の木」は一気にその名が知られるようになる。現在、全国に100店舗を構え、植物の惠を取り入れたWellness&Well-beingなライフスタイルを提案。 商品の販売のみならず、アロマテラピーなどのスクール事業も手掛けている。

「“自然と暮らす Well-earth”をキャッチフレーズに、植物の恵みを大切にし、地球と動物、関わるすべての人々が、 安心して持続可能な生活を送ることを目指しています」と、マネージャーの重永さん。
祖父が創業者で父が現・代表取締役である重永さんは続ける。「当社の理念は“自然、健康、楽しさを提供することで人々の生活を豊かにする”です。 スタッフ全員がこの理念を深い部分まで理解し、お客様に寄り添い、発信しているのが当社の大きな特徴かもしれません」。

重盛 創さん画像 重盛 創さん画像

原料の提供のみから自社のユニフォームへアップサイクル。

 生活の木では、世界各国の提携農園から厳選したオーガニックハーブを100種類以上輸入、販売している。
「エキナセアというハーブはハーブティーに使うのですが、ティーバッグに充填する際、色や形などが崩れていて製品基準に満たないものが出てくるんです。それだけで捨ててしまうのはとても勿体ない。何とかしたいと思案していたときに出会ったのが豊島さんでした」。 折しも豊島がフードテキスタイル事業を立ち上げたばかりの頃で、ハーブを使って染色したいと考えていた担当者が、生活の木に声をかけたことが始まりだった。
“ブルーマロウ”と“エキナセア”から始まり、現在“ルイボス”などの残渣も活用している。 一方、単に原料を提供するだけでなく、2020年から2023年の夏まで生活の木の販売スタッフは、ブルーマロウで染めたフードテキスタイルのエプロンを着用。

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2023年の秋からは、“エキナセア”の残渣から染めた生地でオリジナルのユニフォームに刷新。 合わせて“ジュニパー”から染めたサコッシュも作った。 「そもそもエプロンを作ることになったのは、フードテキスタイルの考え方が、当社のwell-earthという理念とも合致していたからです。 ハーブの残渣をスタッフのエプロンという形でアップサイクルすることで、お客様にも一つのストーリーとして当社の理念が伝わりやすいと思いました。 なぜこのエプロンなのか?という問いに、誰もが納得のいく答えをエプロン自体が語ってくれますから」。

スタッフの意見から誕生したオリジナルユニフォームとサコッシュ。

 これまでも3〜4年のサイクルでユニフォームは切り替えてきたが、今回はエプロンからシャツタイプのユニフォームとサコッシュに大幅に変更。ユニフォームのリニューアルは、スタッフからのリクエストによるものだった。 「エプロンのポケットにモノを入れるため、首と肩が凝る」という声が多く、この課題を解消することが一番の目的となった。さらに、幅広い年代の男女のスタッフがいるため、誰もが気持ちよく働けるよう、着心地の良いものをとリクエストした。  豊島サイドでは、性別や幅広い年齢の違いから、サイズ感に頭を悩ませた。 しかも作るのはMとLの2サイズのみ。豊島はいくつかのサンプルを作り、袖の長さ、身幅、丈感など、実際に男女のスタッフに何度も試着してもらい、細かな改良を重ねた。

重盛 創さん画像 重盛 創さん画像

「ワークショップなどを行う際、袖が長いと邪魔になってしまうんです。 そこで袖にボタンを付けてもらいました。さらにネームプレートを付ける部分が重みで生地が弛まないようになど、機能面での修正をお願いしました。
また体型をカバーして欲しいとか、少し長めの丈の方が今っぽいなど、スタイルにこだわった意見も豊島さんに伝えました」。 着用した時にスマートに見えるよう、敢えてポケットを付けなかったが、スタッフからはポケットの要望が多かった。そこで考えたのがサコッシュだ。
店頭でエッセンシャルオイルを染み込ませて香りを体験してもらう“ムエット”と呼ばれる細長い紙を出し入れできる、縦長のポケットを付け、素材は形が崩れにくい帆布となった。 しかし、ユニフォームと同じエキナセアで染めてみると、生地の違いから同じ色が出なかった。試行錯誤の後、より近い色が出るジュニパーを使うことになった。

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それぞれの得意分野でのコラボを!無限の可能性にチャレンジしたい。

 着心地が良くスタイリッシュなユニフォームと、機能的で使いやすいサコッシュはスタッフに大好評。
淡いオリーブグリーン色は、生活の木のブランドイメージにマッチすると同時に、スタッフの笑顔を引き立てた。 「百貨店に入っている店舗で働くスタッフから、他のブランドのスタッフさんにすごくいいユニフォームだね!と褒められたという声が多数届きました。
ユニフォームを褒めてもらえるのは嬉しいですよね。もちろんスタッフは、気持ちがリフレッシュされたと言っていますし、お客様に対しても、 ユニフォームだけでなくサコッシュも付いたことで、我々が発信したいストーリーが、より伝わりやすくなったのではないかと思っています。 今後はポップアップイベントなどでも着用して、生活の木のブランドイメージを確立したいと思っています」。

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 コロナ禍を機にテレワークなど自宅で過ごす時間が増えたことで、人々の香りへの関心が高まったという。特に厳選した天然素材を取り扱う生活の木の商品へのニーズは高い。 今後は、“香り”をキーワードに新たな展開も考えていきたいと重永氏は語る。 「最初に一緒にプロジェクトをスタートさせてから、豊島さんはものすごい勢いで幅を広げていますよね。 最近では愛知県の人気テーマパークともコラボレーションを実現されたとか。 今後もお付き合いをお願いしたいと思っていますし、その先を見据えて、豊島さんを通じて第3社とのコラボもできたらおもしろいなと。 香りをキーワードに、テキスタイルや空間など可能性は広がっていくと思っています。」

TEXT/MASHIMO SATOKO
PHOTO/ SHIMIZU TOMOSHIGE

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